シニア世代の住まい観が変化? 60歳以上で広がる「多拠点居住」への関心
近年、シニア世代の住まいに対する考え方が大きく変化しています。
積水化学工業住宅カンパニーの住環境研究所が実施した調査によると、60歳以上の既婚男女の間で「多拠点居住」や「住み開き」といった新しい暮らし方への関心が大きく高まっていることが分かりました。
これまでの「一つの家に長く住み続ける」という価値観から、「自分らしい時間」や「地域とのつながり」を重視するライフスタイルへと変化しているようです。今回は調査結果から見える、シニア世代の住まい選びの新たなトレンドを解説します。
多拠点居住への関心が大幅に増加
調査によると、複数の住まいを行き来する「多拠点居住」に関心があると回答した人は34%となり、2018年調査の12%から大きく増加しました。
例えば、
・ 都市部の自宅と地方のセカンドハウスを行き来する
・子ども世帯の近くと現在の住まいを使い分ける
・趣味や旅行を兼ねて別拠点で生活する
といった暮らし方が注目されています。
定年後の時間的な余裕やリモート環境の普及などが背景にあり、「住む場所を一つに限定しない」という考え方が広がっています。
地域との交流を生む「住み開き」にも注目
自宅の一部を地域住民に開放し、交流の場として活用する「住み開き」への関心も高まっています。
関心があると回答した人は26%で、2018年の4%から大幅な増加となりました。
住み開きの例としては、
・自宅の一室を地域サロンとして活用
・趣味教室や読書会を開催
・近隣住民が気軽に集まれる場所を提供
などがあります。
高齢化が進む中で、孤立を防ぎながら地域とのつながりを持つ暮らし方として注目されています。
夫婦でも「一人時間」を重視する時代へ
住まいに対する価値観では、
「夫婦といえど一人時間がほしい」
と考える人が60%となり、2018年の50%から増加しました。
近年は夫婦が常に一緒に過ごすよりも、それぞれの趣味や時間を大切にしたいという考え方が広がっています。
そのため、
・書斎スペース
・趣味部屋
・ワークスペース
など、個人の時間を確保できる住まいへのニーズも高まっていると考えられます。
シニア世代で進む「断捨離志向」
モノに対する価値観にも変化が見られました。
「すっきりシンプルに生活したい」「不要なものは処分したい」と回答した人は50%に達し、2000年調査時の24%から倍増しています。
この傾向から、
・コンパクトな住まいへの住み替え
・平屋住宅への関心
・管理しやすいマンションへの住み替え
などを検討するシニア世代が今後さらに増える可能性があります。
これからの住まい選びは「価値観」が重要に
今回の調査では、
一人時間を重視する人は「多拠点居住」
シンプルな暮らしを望む人は「住み開き」
に関心が高い傾向が見られました。
これまで住宅選びは立地や広さ、設備性能が重視されてきましたが、今後は
「どんな暮らしをしたいか」
「誰とどのような関係を築きたいか」
という価値観がより重要になっていくでしょう。
60歳以上の住まいに対する考え方は、「所有」や「広さ」だけを重視する時代から、「暮らし方」や「人生の楽しみ方」を重視する時代へと変化しています。
多拠点居住や住み開き、一人時間の確保、断捨離志向など、シニア世代の住まいニーズはますます多様化しています。
今後は、こうした価値観の変化を捉えた住宅や住まい方の提案が、より重要になっていくのではないでしょうか。
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