長期金利上昇で住宅ローン環境が変化
住宅ローン金利タイプの選び方―長期金利上昇時代にどう向き合うか
マイホーム購入を検討する際、多くの方にとって最も大きな課題のひとつが「住宅ローンの金利タイプをどう選ぶか」です。
2025年に入り、長期金利がじわじわと上昇し、住宅ローンの固定金利に影響を与え始めています。
一方で、変動金利は依然として低水準を維持しており、多くの借入希望者が選びやすい状況が続いています。
しかし「とにかく低いから変動金利」と決めてしまうのはリスクが高い時代に差し掛かっているのも事実です。今回は長期金利上昇局面において、どのように金利タイプを選択すべきかを整理してみます。
長期固定金利が上昇、変動金利は低水準
大手都市銀行の金利動向を見てみると、変動金利は2024年初頭から年0.4%前後と歴史的低水準にあり、足元でも0.7%弱にとどまっています。
これに対し、35年固定といった長期固定金利は2024年1月時点で1.9%程度だったものが、2025年8月には2.7%超まで急上昇しています。
一方、「フラット35」に代表される全期間固定型の商品は、国が支える仕組みによって比較的安定しており、ここ1年半ほどは1.9%前後で推移しています。
このように、金利タイプごとに動きが異なる背景には、金利の決まり方の違いがあります。
変動金利は、日銀が決定する短期政策金利にほぼ連動するため、現在の低金利政策が続く限りは大きく動きません。
一方で、長期固定は「将来の金利見通し」を織り込むスワップ市場の影響を受けやすく、財政不安や日銀の政策転換を市場が先取りするかたちで上昇しているのです。
フラット35は、住宅金融支援機構が発行するMBS(住宅ローン担保証券)の利回りに基づくため、日銀の国債買い入れ姿勢によってある程度安定を保っています。
「変動金利は後から上がる」市場が示すシグナル
よく耳にするのが「変動金利はまだしばらく上がらない」という意見です。確かに現状は低金利を維持していますが、長期金利が既に上昇しているという事実は軽視できません。
ファイナンス理論では、長期金利は将来の短期金利予想を織り込んだものとされます。
つまり、今の長期金利上昇は「将来的に短期金利も上がるだろう」という市場の見方を反映しているのです。
この構造から考えると、「変動金利が上がり始めたら、その時点で固定金利に切り替えればよい」という戦略には落とし穴があります。なぜなら、変動金利が実際に上昇する段階では、固定金利はすでに先回りして上昇してしまっている可能性が高いからです。
いざ切り替えようとしても、より高い金利を選ばざるを得ない状況に陥りかねないのです。
家計に余裕があるかどうかで決める
最終的にどの金利タイプを選ぶかは「家計にどれだけ余裕があるか」で判断するのが現実的です。
仮に5000万円を変動金利0.7%・35年返済で借りた場合を考えてみましょう。返済当初の年間返済額は約162万円ですが、金利が年0.25%ずつ上がり、5年後に1.7%に達した場合、6年目以降の年間返済額は192万円ほどに膨らみます。
「5年・125%ルール」により返済額は急変しないとはいえ、数十万円の負担増を吸収できる余裕があるかどうかは大きな分かれ目となります。
逆に、家計に余裕がなく返済比率が高めの世帯が変動金利を選んだ場合、将来的な上昇で生活を圧迫するリスクは大きくなります。
この場合、安定感のある固定金利、特にフラット35のような商品を選んで「将来の安心」を買う選択肢も十分に合理的です。
借りる人も借りている人も「今」考えるべき
ここまで見てきたように、金利タイプの選択は単なる「金利の低さ」だけでなく、家計の余裕度合いや将来の金利リスクをどう捉えるかに直結しています。
そしてこれは、これから住宅ローンを組む人だけでなく、すでに借りている人にとっても重要なテーマです。今後の金利上昇局面に備えて、自分の返済計画を見直し、必要に応じて固定金利への借り換えを検討するのも一案でしょう。
低金利が長く続いた日本ですが、いよいよ「金利が動く時代」に入ってきました。マイホームという大きな資産を守るためにも、安易な選択ではなく、自分自身のライフプランと家計に合った住宅ローン戦略を立てることが求められています。
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