「マイホーム計画で気を付けたい地盤と基礎工事について
商業施設や住宅の基礎構造は「目に見えない部分」が多いため、地盤・杭の設計・施工における誤りが建物の安全性・使用性・コストに大きな影響を及ぼす。
本日は、静岡県掛川市の商業施設「ミソラタウン掛川」で起きた杭の支持層誤認による沈下事故を取り上げ、設計・施工・管理のどこに落とし穴があったのか、戸建て住宅でも注意すべきポイントを考えていきたい。
見えない地中で起こる危険ー杭工事ミスから学ぶ「地盤調査と施工管理」の重要性
家や商業施設を建てるとき、外から見える建物のデザインや設備に目が行きがちですが、実はもっと大切なものがあります。
それは地中の「基礎」と地盤です。基礎がしっかりしていないと、どれほど立派な建物でも傾いたり沈んだりする危険があります。
最近、ある大規模施設で杭がしっかりした地層(支持層)まで届かず、最大14cmもの沈下が発生したというニュースがありました。
今回はこの事故を例に、「なぜそんなことが起きたのか」「私たちがマイホームを建てるときに注意すべきことは何か」をわかりやすく解説します。
なぜ杭は“支持層”に届かなくても気づかれなかったのか
建物を支える杭は、地表から数メートル~十数メートル下にある硬く安定した地層(支持層)まで届くように設計します。
ところが今回の事故では、地盤調査で支持層と見込んだ層の一部が、実際にはその下にある本物の支持層と同じような性質を持つ薄い層だったのです。
施工会社は掘削中にトルク(回転する力)の変化や付着した土の状態を見て「到達した」と判断しましたが、実際は杭が数メートル手前で止まっていた場所が複数ありました。
その結果、建物の一部で大きな沈下が起きてしまいました。
さらに問題だったのは、施工後に提出された工事データ上では「設計図どおりに杭を打った」と記録されていたこと。
設計通りに深く掘ったとしても、本当に支持層に届いたかどうかを最終的に確認する仕組みが不十分だったことが、今回のトラブルを大きくしました。
戸建て住宅でも起こり得る“不同沈下”の怖さ
「大規模施設の話でしょ?」と思う方もいるかもしれません。しかし、戸建て住宅でも同じようなリスクはあります。
実際に、国内では過去に軟弱地盤の上に建てられた戸建てで家が傾く「不同沈下」の事例が少なくありません。特に注意が必要なのは次のような土地です。
・造成地や盛土(盛り土)をした場所
・川や沼地だったところを埋め立てた低地
・谷や斜面など、地層が傾いている場所
こうした土地では、地盤の硬さが場所によって違ったり、時間がたつと沈下したりすることがあります。
戸建て住宅の規模は商業施設より小さいものの、調査が不十分だと沈下のリスクはゼロではありません。
住宅購入者・建築主ができるチェックポイント
では、これからマイホームを建てる、あるいは購入する人が何に注意すればよいのでしょうか。
専門家ではない私たちでも確認できるポイントをまとめました。
1. 地盤調査の方法と回数を確認
標準貫入試験やスウェーデン式サウンディング試験など、複数の調査を組み合わせているか。調査地点が1〜2か所だけでは、地盤の傾きや局所的な弱点を見落とす可能性があります。
2. 調査結果と提案された基礎工法の妥当性
軟弱地盤なら「べた基礎」や「杭基礎」など、地盤の状況に合った基礎が提案されているかを確認しましょう。
3. 保証内容を確認
「地盤保証」が付いているかどうか。不同沈下が起きたとき、補修費用や再建費用を保証する制度があります。
4. 施工中の管理体制
建築会社が、杭の深さや支持層への到達をどのように確認しているか質問してみるのも有効です。報告書だけでなく、写真や記録を残す会社であれば安心度は高まります。
まとめ
地中の様子は外から見えません。だからこそ「調査の質」と「施工中の確認」が何より大切です。
今回のように杭が支持層に届かず沈下するトラブルは、商業施設だけでなく戸建て住宅でも起こり得ます。
「地盤調査をしっかり行う会社を選ぶ」ことが、安心して住める家をつくる第一歩です。見えない部分だからこそ、建築会社まかせにせず、自分でも質問し、保証制度を確認するなど、事前にできる備えをしておきましょう。
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