「160年の歴史を、次の暮らしへ。」小田急不動産が挑む“古材住宅”の未来
「160年前の木材が、現代のリビングでふたたび息を吹き返す──」
そんな、時を超えた住まいづくりがいま静かに始まっています。
全国には数多くの古民家が点在し、その多くが空き家として放置され、風雨にさらされながら解体を待つだけの状態にあります。しかし、それらの建物に使われている木材の中には、地元の山で丁寧に伐り出され、職人の手によって長年育まれてきた“宝物”のような素材が眠っています。
こうした「古材」に新たな命を吹き込み、現代の住宅に活かすプロジェクトを立ち上げたのが、小田急不動産株式会社です。
2025年5月、同社は古民家の木材を再活用した新築住宅のモデルハウスを神奈川県足柄上郡開成町にオープンしました。その名も「KATARITSUGI(かたりつぎ)プロジェクト」。
この取り組みは、ただの住宅販売ではありません。地域の歴史を受け継ぎ、環境への配慮を含み、そして新たなライフスタイルの提案でもあるのです。
小田急不動産が提案する“古材の家”とは?
伝統的な日本建築の美しさや職人の技術が詰まった古民家は、一見すると風情ある文化資産のように思われがちですが、その多くが空き家化し、解体の危機にさらされています。
そうした中、小田急不動産株式会社が2025年5月にスタートした新たな取り組み「KATARITSUGIプロジェクト」が注目を集めています。このプロジェクトは、古民家の“良質な木材”を再利用し、現代の住宅に活かすことで、地方の歴史や文化、そして暮らしの知恵を次世代へと“語り継ぐ”というものです。
増え続ける空き家、そして失われゆく古民家資源
現在、日本の空き家数は849万戸(※総務省「住宅・土地統計調査」2023年調査)を超えており、空き家率は約14%に達しています。
特に地方では、相続放棄や人口減少などを背景に、維持管理が困難となった古民家が放置されるケースが増加しています。
しかし、そうした古民家には、かつて地域で伐採・加工された上質な木材や、長い年月を経て味わいを増した梁や柱など、“現代では再現できない価値”が眠っています。
小田急不動産は、こうした古材に着目し、資源として活用する循環型の住宅提案を打ち出しました。
「KATARITSUGIプロジェクト」とは?
このプロジェクトは、全国各地の古民家から取り出された木材(古材)を新築住宅の一部として使用し、住まいの中に「物語」と「温もり」を宿す取り組みです。
小田急不動産は、一般社団法人 全国古民家再生協会(東京都千代田区)と連携し、古材の供給から住宅の建設までを一つのスキームとして構築。土地の仲介や販売を行った顧客が希望すれば、同協会の協力を得て、古材を活かした住宅を建てることが可能になります。
つまり、施主(顧客)が単なる“家”を建てるのではなく、「時間を超えて受け継がれてきた素材を住まいに取り入れる」という、深いストーリーを持った家づくりが実現できるのです。
モデルハウスが開成町に誕生
2025年5月31日、神奈川県足柄上郡開成町にこのプロジェクトの第1号モデルハウスがオープンしました。
この住宅には、新潟県阿賀町にあった築約160年の古民家から取り出された大梁などの構造材が活用されています。建物は木造在来工法の平屋建て(建築基準法上は2階建て)で、延床面積は130㎡。現代的な快適性と、古材ならではの重厚感が見事に融合した空間が広がっています。
内装にも国産材がふんだんに使われており、床材には職人が丁寧に仕上げた杉の浮造り(うづくり)フローリングを採用。洗面台やキッチンなども無垢材を用いた造作仕様となっており、木の温かみを肌で感じる住まいに仕上がっています。
また、「家史(いえし)」という古民家の由来や所有者の想いをまとめた資料も用意され、施主にとっては単なる構造材以上の価値が感じられる工夫が施されています。
環境にも人にもやさしい「循環型の家づくり」
このプロジェクトは、単なる古材の再利用にとどまりません。森林資源の活用・廃棄物の削減・CO2排出の抑制といった、環境への配慮も大きな柱となっています。現代では伐採されにくくなった大径木を活用できる点も、地球に優しい選択と言えます。
また、古材には経年による安定性があるため、反りや割れが起こりにくいという利点も。安心・安全な家づくりという観点からも、高い品質が担保される素材です。
販売価格についても、参考プランで坪単価約140万円と、実現可能な選択肢となっています。2025年度の初年度販売目標は5戸。今後、需要に応じて供給体制を整えていく予定です。
エシカル消費や地方創生にも貢献
「地方に眠るこの資産を何とかできないか」。そう語るのは、小田急不動産 仲介事業本部仲介営業部企画推進グループの山尾正堯氏。環境・文化・経済の循環を見据えた取り組みは、まさに“エシカル消費”の視点を持つ現代人の心に響くものです。
地方の古材を都市部の住宅に活用することで、古民家のある地域との関係人口を増やし、地域経済の活性化にもつながる可能性があります。家づくりが「地域とのつながり」を生むという新たな価値観が、いま静かに広がりつつあるのです。
「家を建てる」という行為が、ただの不動産取引ではなく、“文化や時間を受け継ぐ営み”になる時代が訪れました。小田急不動産の「KATARITSUGIプロジェクト」は、未来の住まいの在り方に一石を投じる存在となるでしょう。
新築住宅に古材を取り入れたい方、エシカルな住まいづくりに関心のある方、そして地域とのつながりを大切にしたい方にとって、このプロジェクトはまさに理想の提案です。
今後の展開に、注目したいですね!
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