収益性と居心地を両立させる賃貸集合住宅づくりの秘訣
賃貸経営を考えるオーナーにとって、最も重要なのは「収益性」です。
しかし、収益だけを追い求めてしまうと、入居者にとっての快適さや魅力が後回しになり、結果的に空室率が高まってしまうリスクがあります。
東京都内で人気の賃貸集合住宅を数多く手掛ける 松浦荘太建築設計事務所 代表・松浦荘太さんは、「収益性」と「住み手の満足度」を両立させる設計を意識していると語ります。今回は、実際に手掛けた「目黒の集合住宅」の事例を通じて、そのポイントを探ってみましょう。
オーナー・施工会社・設計者、3つの視点をバランスよく
松浦さんが重視しているのは、オーナー・施工会社・設計者 の三者の視点を調和させること。
・オーナー目線:建築コストを抑え、収益性を高めたい
・施工会社目線:工事の難易度や維持管理のしやすさを重視
・設計者目線:入居者のライフスタイルをイメージし、魅力的な空間を提案
これらを一方的に優先するのではなく、バランスを取りながら物件の価値を高めていくことが、長く人気を維持する物件につながります。
設計の出発点は「要望」と「制約」
「目黒の集合住宅」では、オーナーからの「部屋数を多く確保したい」という要望と、敷地の形状という制約が出発点になりました。
結果として、地上3階+地下1階、全23戸の1LDK中心の住戸*が誕生。ターゲットは、目黒・中目黒エリアで働く世帯や都心志向の若いカップル・単身者でした。
さらに敷地形状から、南北に細長い住戸配置が必然的に決定。ここで松浦さんは、「光と影の陰影を生かした洞窟のような空間」というテーマを設計に落とし込みました
共用部が生み出す「特別感」
物件の顔ともいえるエントランスは、約15m続く通路をあえて薄暗く演出。木目調の天井にやさしい光を映し出すことで、
・帰宅した入居者には「ほっとする安心感」
・内覧に訪れた人には「ここに住みたいと思わせる特別感」
を与えています。制約条件から生まれた設計アイデアが、逆に物件の強い魅力へと転換しているのです。
【ガラス間仕切りと土間で差別化】
各住戸には、開閉可能なガラスの間仕切りを採用。これにより、
・1LDKでもワンルームのように広々使える
・採光を確保し、開放感を演出できる
・デザイン性が高く、おしゃれな印象を与える
という複数のメリットを実現しています。
さらに「土間」を設けることで、ライフスタイルに合わせた多用途利用が可能に。近隣物件との差別化要素にもなり、入居希望者に強い印象を与えています。
デザイン性だけでなく「居心地」を重視
松浦さんが大切にしているのは、人が心地よく感じる空間 をつくること。
例えば、全体を明るく照らすのではなく、光の当たる部分とそうでない部分をあえてつくることで、落ち着きや居心地の良さを演出します。これはホテルやバーにも共通する空間づくりの考え方です。
また、水回りや建具には、一般流通の設備を選択。世界観を損なわずにコストを抑え、メンテナンスのしやすさも確保しています。
【収益性と人気物件の両立は「工夫」にあり】
人気の賃貸集合住宅をつくるためには、収益性だけでなく、入居者が「ここに住みたい」と直感的に思える空間づくりが欠かせません。
松浦さんの事例から学べるのは、
・制約を逆手に取ったアイデア
・光・素材・空間の工夫による居心地の追求
・デザイン性とコスト管理の両立
といった工夫の積み重ねが、長期的な収益と安定した入居率につながるということです。
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