耐力壁×デザイン性の融合ー木造建築の未来を変える窓とは
日本一の木造耐力壁を決める大会「カベワンGP(壁-1グランプリ)」で、AQチーム匠が史上初のトーナメント4連覇を達成しました。
しかも今回は、従来の「いかに強くするか」に加えて、大きな開口(窓)を設けながら耐力を維持するという高い技術が問われる新ルールのもとでの勝利。まさに技術とデザインの挑戦です。
今回は、耐力壁とは何かから今回の勝因、「窓辺のヴィーナス」という新構造の意義、そして今後の木造住宅への展開までをご紹介します。
耐力壁とカベワンGPとは?
・耐力壁とは
建物が地震や風などの水平荷重(横方向からの力)に耐えるために設けられる壁を「耐力壁」と呼びます。壁そのものの強度・剛性だけでなく、接合部の性能や長時間の耐久性も重要です。
・カベワンGP(壁-1グランプリ)とは
毎年、全国の大学・専門学校・企業などが出場し、木造耐力壁の強さを競う大会です。
2つの耐力壁を土台に固定し、互いに引き合い、どちらかが破壊されるか、許容変形量を超えると敗北するというトーナメント方式で勝敗が決まります。
加えて、施工性、デザイン性、環境性なども評価される総合競技的側面があります。
本大会は、旧・木造耐力壁ジャパンカップを前身とし、1998年以降続いている歴史ある大会、らしいです。
この大会自体が、技術者の研鑽や木造建築分野の知見共有の場ともなっているみたいですね。
AQチーム匠の快挙:史上初 4連覇
・大会概要と決勝の様子
今回の大会には、書類選考・予備試験を経て 12チームが出場しました。
AQチーム匠は予選から圧倒的な力を発揮し、決勝では53 kN(約5.4トン)の力が加わった時点で相手壁が限界を迎え、見事勝利。
これにより、2022年から4年連続のトーナメント優勝 を達成しました。
・新ルールへの対応と技術的チャレンジ
今年の大会では新たに、「金物の使用重量に応じて開口(窓など)を設ける」というルールが導入されました。
すなわち、壁に使う金物(接合金物や補強金物)が重くなれば、それに比例して開口を設けなければならないという制約です。
これにより、強さだけでなく開放性も問われる大会になりました。AQチーム匠は、2023年の優勝作品「ヴィーナスの逆襲」をベースに改良を加え、広い開口を確保しながらも耐力性能を保つ壁を設計しました。この改良版の壁は「窓辺のヴィーナス」と名付けられたそうです。
「窓辺のヴィーナス」がもたらすもの
・ 設計思想と特徴
「窓辺のヴィーナス」は、強さと実用性を高次元で兼ね備えることを目指した構造です。具体的には、
・サッシをはめ込める大きな開口部を確保
・接合部の強化(使う釘の本数・配置を再検討)
・金物の使用量と重量制約を考慮した設計
・壁としての美しさ・デザイン性への配慮
これにより、強靭な壁でありながらも窓のある開放的な空間*をつくる可能性が開かれました。
住宅適用への期待
この設計思想は、単なる競技用壁に留まらず、一般住宅への応用*を視野に入れています。
強さを犠牲にせず、壁に大きな窓を設けられる構法が実用化されれば、従来の木造住宅における「窓を大きく取ると構造が弱くなる」という制約を打ち破ることにもつながります。
AQ Groupとしては、この技術を自社の住宅構法「AQダイナミック構法」などに取り入れて、自由で明るい間取りを提供する住宅を展開する計画です。
AQのこれまでと今後
・実績と技術開発
AQ Groupは、トーナメント優勝を通算 9回達成。大会記録(耐力値)も保有しています。
2023年には 71.2 kN(7トン以上の荷重に相当)を記録する大会新記録を打ち立てています。
また、カベワンGPでの成果をもとに、組子格子耐力壁や 相欠き合わせ柱式ラーメン構造といった革新的構法が開発され、実際に中高層木造ビルにも採用されています。
・住宅展開とフェア開催
現在、AQ Groupは「全国一斉 秋のプランニングフェア」を開催中で、同社の先端技術を反映した住宅プランを紹介しています。
このフェアでは、吹き抜け空間やコーナーサッシ、大開口を取り入れた設計提案が可能な構法を採用した住宅を展示。
来場予約やプラン提案、新築契約に対して特典も用意されています。
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