遺言書の残し方
遺言書は遺言者の死後に,財産の処分や相続分の指定などについて法的な効果を持ち、相続で遺言者の意思を実現させるために作成します。
遺言書には主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があり、自筆証書遺言は法務局に預けることにより裁判所の検認が不要となる他に紛失・改ざん・破棄・隠匿、方式不備や相続人に遺言書の存在が知られないまま遺産分割されるなどせっかくの遺言が無駄になる事を防ぐことができます。
公正証書遺言
公正証書遺言は・公証人関与の下,2名以上の証人が立ち会って行い公証人は、遺言能力や遺言の内容の有効性を確認、遺言内容の助言等を行います。
遺言者が病気等で公証役場に出向けない場合,公証人が出張して作成することもできます。
公証人により様式にのっとった形で作成されるので無効になる心配が少なく、改ざんや紛失の心配も少なくなります。
また、寝たきり状態や目が見えない等の方でも作成ができ謄本は再発行も可能で遺言を執行する際にも家庭裁判所の検認は不要となります。
自筆証書遺言
遺言者本人(15歳以上)が遺言書の全文と日付及び氏名を自書さえできれば一人で作成することができ、証人は不要です。
尚、財産目録については必ずしも自書である必要はありません。
費用がかからないメリットの他、内容は書いた本人のみ知る秘密とでき、作り直すことも比較的安易にできます。
また、「法務局保管」の自筆証書遺言は「検認」が不要な上、相続開始後、法務局に遺言書が保管されている旨を相続人等に通知してもらえます。
費用と保管方法
公正証書遺言は作成に財産の価格に応じた手数料がかかり、原本は公証役場に保管し正本・謄本は遺言者が自由に保管場所を決めます。
一方、自筆証書遺言は『紙とペン』さえあれば作成する事にかかる費用はありません。
保管方法は遺言者が自由に選定することができますが「法務局の保管制度」利用以外の自筆証書遺言書は遺言書の保管者又はこれを発見した相続人により、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、その「検認」を請求しなければなりません。
「法務局の保管制度」を利用する際には申請時に保管申請手数料3,900円(令和4年4月現在)がかかりますが、法務局により厳重に保管されます。
また、法務局に保管する自筆証書遺言は民法968条の要件を満たした書式になり制度上決められた様式があります。法務局職員が方式に不備がないかのチェックを行いますので有効性を保証するものではありませんが方式の不備による無効は防ぐことができます。
家庭裁判所の検認
自筆証書遺言で「法務局保管」以外の場合遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。
「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続で遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
検認の手続は,通常は以下のように行われます。
① 検認の申立てがあると、相続人に対し、裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知をします。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます(申立人には、遺言書、申立人の印鑑、そのほか担当者から指示されたものを持参していただくことになります。)。
② 検認期日には、申立人から遺言書を提出していただき、出席した相続人等の立会のもと、裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します(封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。)。
③ 検認が終わった後は、遺言の執行をするためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるので、検認済証明書の申請(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)をすることになります。
検認の有無で遺言書の効力が左右されることはありませんが家庭裁判所における検認手続きを経ずに遺言書の執行をした場合や開封した場合には、5万円以下の過料に処せられることになります(民法1005条)
デメリット
公正証書遺言は費用がかかる事、書類を揃える手間がかかる事の他内容は秘密にできません。
自筆証書遺言は全文自筆なので労力、手間がかかります。
また、「法務局保管」としなかった場合には執行される前に家庭裁判所での検認が必要となり、執行以前に改ざん・紛失・盗難の他発見されないなどの恐れもあります。
自筆証書遺言で法務局保管とした場合には決められた様式で文書を自筆で作成する事と法務局での申請手続きの手間と申請時の費用が必要です。比較的お元気なうちに作成するのであればお勧めできる遺言書の残し方ですがご高齢であったり、気力が衰えた方には負担も大きいと思います。
自筆証書遺言書保管制度の注意点
非常に便利に思える「法務局保管」の自筆証書遺言ですが少し煩雑な手続きや決められた様式での書類作成など、高齢者や気力、体力の衰えた方にはなかなか大変な作業となります。
また、法務局職員は方式の不備などのチェックはしますが、遺言書の内容に関する相談には応じることができません。
ご自身のみで作成することに不安を感じる方、遺言書の内容について不明な点がある方は、司法書士、弁護士等の法律の専門家へのご相談をお勧めいたします。
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